薄毛治療の真の目的は般若心経にあり！

薄毛治療の目的は外見の改善のみではない！

薄毛の人の悩みが外見であることは間違いありません。有効な治療法がないので、焦ってウイッグをつけたり植毛をしたりします。

薄毛の人たちでは、劣等感や精神の不安定性、さらに自信の喪失などが認められており、薄毛の改善により精神状態が安定することもわかっています。毛髪や体毛まで失う重症の円形脱毛症では、精神を深く病み、時に最悪の選択をする場合もあります。

薄毛治療の目的は、まずは外見上の問題を解決することです。しかしウイッグなどで隠すだけでは薄毛そのものは進行していくので、根本的な解決にはなりません。

薄毛は体内の異常の反映である

髪は“血餘（けつよ）”と言われるように、血液の状態、すなわち体の内部の状態の反映でもあります。薄毛は外見のみの問題ではなく、体内の問題の反映でもあるのです。

賢い皮膚科医は、皮膚に現れる異常を“デルマドローム（皮膚以外の原因により皮膚に現れる病変群）”と表現して内臓疾患の表れであると考え、皮膚の病変から内臓疾患を診断することを重要視します。

このような医師は、あまりよく診察もせずに根治性のないステロイドの塗り薬を乱発する、近所の皮膚科医とは別次元の医師です（図１）。薄毛もデルマドロームとして捉えれば、どのような体内の異常を反映しているのでしょうか？

▼図１：デルマドロームの考えに基づく治療が根治させる治療

薄毛と体内の異常との関連

男性型脱毛症の患者さんでは、心筋梗塞や糖尿病、また前立腺肥大や前立腺がんなどのリスクが高いことがわかっています。

また女性型脱毛症は女性ホルモンの作用不足によって起こります。すなわち女性型脱毛症は、更年期障害に見られるような体の不調と関連があります。

円形脱毛症は、自分の免疫が自分の組織を傷つける自己免疫疾患の一つです。円形脱毛症の患者さんではいくつかの自己免疫疾患を同時に合併することもあり、自己免疫疾患の発症リスクが高くなります。

薄毛と体内の異常との関連を説明しうるIGF-1理論

インスリン様成長因子-1（IGF-1）は、育毛効果や免疫力を正常にするなどの作用を持ちますが、他にも多くの健康効果を持っています。

私は、痛みや痒みを感じる知覚神経を刺激するとIGF-1が増えることを発見しました。したがって知覚神経を刺激するカプサイシンやイソフラボン、そしてβ-グルカンの併用で、IGF-1が増えて育毛効果が現れるのです。

薄毛であるということは、何らかのメカニズムでIGF-1が減っていることを意味します。男性型脱毛症は男性ホルモンに由来する物質がIGF-1を減らすために起こりますが、この体質は母方の祖父から遺伝します。そして過食や運動不足などのIGF-1を低下させる生活習慣も、男性型脱毛症の発現を促進します。

また、女性ホルモンは知覚神経に作用してIGF-1を増やすので、加齢により女性ホルモンが減ってくるとIGF-1も減ってしまい、髪の毛の質の悪化や薄毛が起こります。

円形脱毛症では、IGF-1を増やすために重要な血管が、自己免疫に伴う炎症や大きなストレスで傷付くためIGF-1が減少します。円形脱毛症では自己免疫の体質の遺伝が重要な役割を持ちます。

薄毛治療の真の目的は、般若心経に見ることができる

般若心経で最も有名な言葉は“色即是空　空即是色”です。これは目に見える物、つまり色は、目に見えない物、すなわち空からなっているという意味です。薄毛に関して言えば、色は薄毛で、空は遺伝や加齢、体質、ストレス、そして生活習慣です（図２）。

これらの空の要素が結局は自律神経の働きを悪くするので、IGF-1が減少し、色（薄毛）が見えてくるのです。

▼図２：薄毛治療の真の目的は般若心経の教えと同じ

生活習慣は別にして、空のその他の要素は改善することができません。そのため知覚神経を刺激して自律神経の働きを良くすることが空の要素を消すことになり、結局、色（薄毛）を消します。ウイッグや植毛では空を消せないので、色は隠せますが消せません（図２）。

我々は、現代に生きるサムソン

旧約聖書に登場するサムソンの怪力の源は髪の毛でした。ヒトの心身を強くする力も、髪の毛を作るのもIGF-1です。すなわち髪の毛の量はIGF-1の量を反映し、生命力のバロメーターになります。

▼図３：我々は現代に生きるサムソン

事実、新型コロナ感染は薄毛の人で悪化しやすく、今を生きる人もみんなサムソンなのです（図３）。薄毛の改善のためには、毛穴に皮脂がつまると毛が抜けるなどの偽情報に惑わされず、IGF-1を増やすような生活習慣を送る、また治療を受けることが大切です。