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2021年09月02日

ヘアケア

美髪シャンプーをやめると美髪になる!?

数年前に、『シャンプーを止めると髪が増える』という本が出版されました。その著者自身が、シャンプーをやめて薄毛が改善したことを述べています。私の結論も、この本のタイトルと同じです。この本の著者は、お湯シャンを勧めていますが、私も同感です。

では、なぜシャンプーをやめると、毛が生えてくるのでしょうか?これが本当なら、逆にシャンプーを始めると毛が抜けることになります。

 

美髪シャンプーのウソ

薄毛が気になってくると、多くの人たちは、美髪シャンプーなどという単語でネット検索を始めます。そして出てくるシャンプーは、普通のシャンプーよりも高価なものばかりですが、薄毛を気にする人たちは、高価であることをむしろありがたがり、普通のものよりも効果があるからだと考えてしまいます。

私のクリニックの患者さんでも、シャンプーを使っていますかと聞くと、少し得意気に、「はい、高いものを使っています」と答えます。

また、行きつけの美容室の美容師のおばちゃんから育毛に良いと勧められるシャンプー、これも高価だったりしますが、お客さんは長く美容師をやっている人が勧めるものだから間違いない、と考えてしまいます。

美容室に何年行っても、決して毛は生えません。美容師さんの説明は次のようなものではないでしょうか。

「このシャンプーは、頭皮に優しいアミノ酸系の界面活性剤を含んでいます。また、頭皮環境を改善する優しい植物成分も含んでおり、毛穴に詰まって抜け毛を引き起こすシリコンが入っていないノンシリコン。だからこのシャンプーがおすすめです」など。

「それでは、そのシャンプーを使って、実際に薄毛が改善し、美髪になった人たちの写真を見せて」と言ってみてください。おばちゃんは笑ってごまかして、「無理にとは言いませんが、評判は良いのでおすすめですよ」とお茶を濁して会話は終了するでしょう。

このおすすめのシャンプーの内容で、育毛に良いというのは、全て根拠のない話です。

 

シャンプーをやめて毛が生えた人たち

写真1は、男性型脱毛症(AGA)の50代男性の頭部です。何も脱毛症の治療はしていません。ただシャンプーをやめて、お湯シャンに変えただけです。お湯シャンに変えて3ヶ月後には、明らかに頭頂部の薄毛が改善しています。

▼写真1:50代男性/男性型脱毛症。左からシャンプー中止前、シャンプー中止3ヶ月後。

写真2は、女性型脱毛症で、カプサイシンとイソフラボンで育毛物質IGF-1を増やす治療を受けている30代女性の頭部です。毎日シャンプーをしており、薄毛がなかなか改善しないので、シャンプーの回数を週1回だけに減らしてもらったところ、頭頂部の薄毛が改善しています。

▼写真2:30代女性/女性型脱毛症。左からシャンプー使用中、シャンプーの回数を減らして3ヶ月後。

 

シャンプーを始めて毛が抜けて、やめて毛が生えた人

写真3は、カプサイシン、イソフラボン、そしてタキシフォリンで治療中の、女性型脱毛症の50代女性の頭部です。治療とともにお湯シャンをしてもらっていたのですが、自己判断でシャンプーを始め、2ヶ月後に薄毛が悪化しました。

そして、再びお湯シャンに変えてもらうと、その1ヶ月後には、頭頂部の薄毛が改善していることがわかります。

▼写真3:50代女性/女性型脱毛症。左からシャンプー使用中、シャンプー中止1ヶ月後。

 

なぜ、シャンプーで毛が抜けるのか?;皮脂の重要な役割を知る

シャンプーにどのような成分が入っていようと、とにかく頭につけて泡が立つ液体は、全部脱毛につながる可能性があります。それは、皮膚の保護膜であり、かつ育毛に必要な皮脂が、泡立ち成分である界面活性剤によって除去されるからです。

泡立つシャンプーを使った時点で、美髪への希望は、泡となって消え失せるのです。多くの育毛サロンが、そのセールストークに使っている、皮脂が毛穴に詰まると毛が抜けるというのも根拠がない話です。なぜ、皮脂が育毛に重要なのでしょうか?

皮脂は、毛穴にある皮脂腺で作られて毛穴(毛包)に分泌される脂質(毛の伸長と共に皮膚表面に出てくる)と、皮膚表面の角化細胞の細胞膜(これも脂質)との混合物です。

皮膚は、外界からの異物の侵入を防ぐ作用や、水分や熱を保持するための重要なバリアーとしての役割があります。そしてそのバリアー機能の維持において、重要な役割を担っているのが、皮脂です。

皮脂はまた、ビタミンEなどの抗酸化物質、オレイン酸やパルミチン酸などの抗菌作用を持った脂肪酸、およびフェロモンなどを含んでおり、皮膚表面の酸化や感染による傷害の防御、および異性間の交友などにも重要な役割を担っています。そして、以下に述べるように、皮脂は育毛にも重要なのです。

 

皮脂が作れないマウスでは、皮膚が乾燥し、毛が抜けた!

皮膚の恒常性維持における皮脂の役割を解析するために、皮脂の生成に重要な酵素を欠損させたマウスにおいて、皮膚にどのような変化が起こるか、ということが検討されました。

皮脂が作れないマウスでは、皮膚がカサカサに乾燥し、重症の脱毛と皮膚の炎症などが起こることが判明しました。この事実は、育毛サロンのセールストークとは全く逆です。

皮脂がどのようにして育毛を促進するかは、明らかではありませんが、皮脂に由来する物質が、知覚神経を刺激して頭皮のIGF-1(育毛物質)を増やす可能性が考えられます。

この事実から、強力な界面活性剤が配合されたシャンプーで頻繁に頭部を洗うと、皮脂を過剰に除去することになり、これは頭皮が本来持つ抗酸化機能、感染防御作用、さらに育毛効果をも損なってしまう可能性が考えられるのです。

さあ、シャンプーで自ら毛をむしり取っているような生活を改め、美髪シャンプーをやめて、IGF-1を増やすサプリメントの効果を十分発揮させ、美髪になりましょう。

岡嶋 研二

育毛ドクター

名古屋Kクリニック院長。 IGF-1育毛理論の第一人者。

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