MENU

2017年03月02日

ヘアケア

髪を増やし、綺麗にする「IGF-1」

髪は女性の命と言われますが、これは外見上の問題のみならず、文字通り、髪の毛が豊かできれいなことは、体の内面も健康であることを表しているとも言ってよいでしょう。

IGF-1(インスリン様成長因子-1)は、育毛効果をはじめ、多くの健康効果やアンチエイジング効果を持っており、食習慣や生活習慣で増やすことができます。その方法を学んで、きれいな髪、肌、そして健やかな心身を維持しましょう。

 

IGF-1 (インスリン様成長因子-1)とは?

IGF-1とは、頭皮をはじめ、体の中の多くの組織に存在する成長因子のひとつです。膵臓で作られ、血糖値を下げるホルモンであるインスリンとは全く別のものです。

一般に成長因子とは、細胞の分裂や増殖を促進し、組織の成長、成熟、また再生に重要な役割を担う物質です。多くの成長因子の中でも、細胞の生存や増殖においては、IGF-1が最も強い作用を持っていることが知られています。

IGF-1は、アミノ酸約70個が連なるペプチドという物質で、体中の多くの組織で作られ、育毛効果以外にも、ヒトの心身の成長と老化防止に不可欠な物質です。

 

IGF-1は、ヒトの成長に不可欠

ヒトの心身の成長が最も著しいのは、思春期の頃です。思春期になると、脳下垂体という組織からの成長ホルモンの分泌が増えます。

成長ホルモンは、体の中の多くの組織に作用しますが、特に筋肉量を増やし、また、骨を丈夫にしてその長さを伸ばすなど、身体の成長作用を持っています。

さらに、成長ホルモンは、脳、特に学習能力の中枢である海馬という神経組織を発達させる作用も持っています。

このように、成長ホルモンは、心身の成長作用を持っているのですが、これらの成長ホルモンの多くの作用は、実は、 IGF-1によって仲介されているのです。

すなわち、成長ホルモンが筋肉や骨などに作用すると、それらの組織でIGF-1が作られ、組織の成長作用を発揮します。

IGF-1は、加齢と共に体内で減少していきます。この低下が促進されると老化が進み、生活習慣病も発症しやすくなります。言い換えれば、IGF-1は、適切なエイジングと健康維持に極めて重要な役割を担っています。

 

IGF-1の作用は?

ヒトの体の中で、実際にIGF-1がどのような作用を担っているかは、 IGF-1を作ることができない病気の患者さんにみられる症状を調べればわかります。

IGF-1を作れない病気は、ラーロン症候群といいます。以下に、この病気の患者さんの症状と動物実験などをもとにして判明した、IGF-1の作用を示します。

1. 筋肉を増やし、骨密度を上げる

2. しわの改善や、皮膚が薄くなることを防ぐ

3. 毛髪や爪の成長とその質の維持

IGF-1は、毛髪を増やす作用に加え、その太さ、コシ、およびツヤをよくするなど髪の毛の質を改善する作用も持っています。IGF-1の育毛効果については、後で詳しく述べます。

4. 眼の網膜の血管を増やし、さらに視力を維持

5. 歯の成長やその維持

6. 心臓の働きをよくする

7. 知能や認知機能を改善する

8. 糖尿病の予防や改善

9. 免疫力を高める

10. 生殖機能を高める

11. 肥満の防止

12. 良好な睡眠の維持

13. 抗うつ作用

このように、IGF-1は、体の成長や機能の維持に、そして老化防止に重要な役割を持っていると言えます。

 

IGF-1の育毛効果

前述のように、IGF-1は、髪の毛を増やし、綺麗にする作用を持っています。

IGF-1を作れないラーロン症候群では、若年から髪の毛が細く、折れやすく、また、薄毛になることが知られています。

また、この病気の患者の毛髪は天然パーマのように縮れ、毛に溝のようなものがあり、もろくなることが認められます。さらにこの病気では、髪の毛の伸び方が健常人より遅く、散髪の必要がないようです。

これらの事実から、 IGF-1は、毛髪の成長とその質の維持に極めて重要な役割を担うことがわかります。

IGF-1は、毛根に存在する、毛乳頭という髪の毛のもとになる毛母細胞を養う組織にある細胞で作られます。

髪の毛の寿命は3~6年ですが、その中で、髪の毛が伸びる成長期(2~6年、頭髪の約90%がこの時期にある)、髪の毛が成長を止める退行期(2~3週間、頭髪の約3%)、そして毛乳頭が今ある髪の毛の根本から離れて行ってしまう休止期(約100日、頭髪の10~15%)からなっています。

休止期から成長期に移る間に、すなわち、新しい毛が作られ始める時期になると、古い毛が抜けていきます。IGF-1は、髪の毛の成長期を長くし、退行期や休止期を短縮させることで、髪の毛を増やします。

また、IGF-1は、髪の毛のコシやツヤを改善する作用、すなわち髪の毛の質を良くする作用も持っています。

脱毛症は、その種類によりメカニズムは異なりますが、毛根のIGF-1が減少するので、髪の毛の成長期が短縮し、休止期や退行期が長くなり、毛が抜けやすく生えにくくなり、薄毛になります。

また、髪の毛が細くなり、ツヤやコシも悪くなります。したがって、脱毛症の改善には、頭皮でIGF-1を増やす必要があります。

もし、簡単にIGF-1を増やす方法があれば、薄毛の改善はもとより、体の健康維持や老化防止に役立つことは十分に予想されます。私が発見した、安全にIGF-1を増やす方法を次回にご紹介します。

岡嶋 研二

育毛ドクター

名古屋Kクリニック院長。 IGF-1育毛理論の第一人者。

\ この記事をシェア /

pagetop