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2022年01月13日

エイジングケア

人生100年時代の大敵!?

人生100年時代の問題

今や「人生100年時代」であると言われています。日本の100歳以上の高齢者数は、1970年は310人でしたが、2050年には683,000人になると予想され、急激に増加しています。

併せて日本人の「平均寿命」も伸びており、2016年は男性80.98歳、女性は87.14歳で、ともに過去最高を更新しています。ところが、同年の「健康寿命」は、男性は72.14歳、女性は74.79歳でした。

この平均寿命と健康寿命の差は、いわゆる要支援・要介護状態の期間で、前述の2016年ですと男性約9年、女性約12年となります。この差は十数年間縮まっていません。人生100年時代といえども、長期間、要介護状態で過ごすというのは非常に苦しいものです。

 

後悔しない未来のために、対策を

平均寿命と健康寿命の差が開く原因の多くは、「フレイル」であると言われます。フレイルとは、加齢や疾患によって身体的・精神的な様々な機能が衰え、心身のストレスに弱くなった状態のことです。健康状態でいうと、健常から要介護へ移行する中間の段階です。

フレイルのチェック項目は次のような点です。①半年で体重が2~3kg減少した。②握力が弱い(男性26kg、女性16kg未満)。③わけもなく疲労感がある。④歩行速度が遅い(1.0m/秒未満)。⑤運動習慣なし。

いつまでも元気に過ごすためには、フレイルか否かに早く気付き、運動や食事などで対策を行いましょう。ほっておくと要介護状態へまっしぐらです。運動は継続すること、食事は各栄養素をバランスよく摂ることが大切です。

栄養素の中でも昨今、食物繊維の不足が指摘されています。食物繊維は腸内細菌の餌となり、健全な腸内細菌叢(腸内フローラ)形成のために必須です。

日本人の食物繊維の摂取量は、 1947年の27.4g/日から、 2014年の14.2g /日まで大幅に減少しています。炭水化物は糖質と食物繊維から成りますが、その制限ブームも加わり、さらに落ち込んでいるものと思われます。日本人の食物繊維の主な供給源である、米や麦の摂取量が大幅に減っているのです。

また下のグラフは、45~64歳の15000人を25年間追求し、炭水化物の摂取比率と死亡率を調べた研究結果です。死亡率が一番低かったのは、50~55%の栄養素を炭水化物から摂るグループで、摂取比率が高くなっても低くなっても死亡率が上昇しています。このグラフから見ても、炭水化物をむやみに制限せず、食物繊維を十分に摂ることが大切だと考えます。

▼炭水化物の摂取量と死亡率

 

Seideimann,SB,et al.The Lancet Public Health 2018,3:e419-428

フレイルにつながる運動不足と偏った食事は、人生100年時代の大敵でしょう。後悔しない未来のために、今日から対策を行いましょう。食事については、誤った情報に左右されないことも大切です。

元井 益郎

薬学博士/社長

1分も走れないペンギン歩きから、世界7大陸最高峰を目指す70代に。

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