MENU

2020年06月04日

ヘアケア

抜け毛の季節でもある、初夏を乗りきるために

初夏の悪化が見られた男性型脱毛症症例

1年のうちで特に抜け毛が増えるのは、秋口だけでなく、初夏もそうであるといえます。

下の写真は、男性型脱毛症の経過を、3年間追跡した30代男性の頭部です。治療前に比べると、頭頂部の薄毛は、年々改善してきていますが、必ず6月になると地肌の見える範囲が広くなり、7月にはまた元に戻る、というパターンを繰り返しています。

▼写真:30歳男性/男性型脱毛症。

7月に元に戻るのは、カプサイシンやイソフラボン、男性型脱毛症の治療薬で治療を行っているため、脱毛まではいかずに、毛が細くなるだけで済んでいるからです。もしこの治療を行っていなければ、脱毛していたでしょう。

円形脱毛症の発症や再発も、6月が多いようです。なぜ初夏には、脱毛が起きやすいのでしょうか?

 

初夏は、自律神経のリズムが乱れやすい

この脱毛の原因には、初夏が、1日の寒暖差が最も大きいことに加えて、4月からの生活環境の変化によるストレスなどが考えられます。自律神経のリズムの乱れが引き起こされ、脱毛することがあるのです。

 

自律神経のリズムの乱れで、育毛物質IGF-1が減少

インスリン様成長因子-1(IGF-1)は、抜け毛の予防や育毛、髪質の改善に重要です。抜け毛が増えるということは、何らかの原因でIGF-1が減少していることになります。すなわち、自律神経のリズムの乱れで、IGF-1が減少してしまうために、抜け毛が増えると考えられます。

では、なぜ自律神経の乱れでIGF-1が減少するのでしょう。また、それを抑制して抜け毛を減らすには、どうしたら良いのでしょう。

 

自律神経のリズムとは?

自律神経は、交感神経と副交感神経からなる、ヒトの生活(生命)のリズムを作るうえで重要な神経です。交感神経は、緊張、興奮、狼狽、そして運動などの時に働きが高まる神経です。それに対して副交感神経は、唾液や涙の分泌、排尿、消化、および排便の時に、その働きが高まります。

寒暖差の大きい気候や生活習慣の大きな変化は、生体にとってストレスとなり、そしてこれと戦おうとして交感神経を緊張させます。その結果、副交感神経よりも交感神経の働きが優位になります。

 

自律神経とIGF-1の関係は?

IGF-1を増やすには、痛みや熱さを感じる知覚神経を刺激することが重要ですが、知覚神経への刺激は、副交感神経を介して伝達されます。

ストレスにさらされることが多くなると、交感神経が緊張し、副交感神経の作用を弱め、IGF-1を減らしてしまいます。これがストレスで毛が抜ける原因です。

 

副交感神経を優位にする方法は?

自律神経のバランスを、副交感神経優位に保つには、以下のような対策が有用です。すぐに思い浮かぶことは、色々なことにイライラしないことですが、これは簡単なことではありません。

しかし、知覚神経を刺激して、副交感神経優位の状態にすると、リラックスしてイライラしにくくなるので、ストレスを感じなくするためにも、知覚神経を刺激することが重要です。

a.朝食を食べる:朝は、前日の夕食から長い時間が経っているので、朝食を抜くと血糖値が下がり、血糖値を高めようとして、交感神経が緊張します。また食事をすることで、消化機能を高めるために、副交感神経の働きが良くなります。

b.運動をする:過激な運動は、交感神経の緊張をもたらしますが、適度な運動は、IGF-1を増やす成長ホルモンの分泌を促します。IGF-1そのものにも知覚神経を刺激する作用があるので、適度な運動で、副交感神経の働きが良くなります。

c.入浴する:体を温めると、知覚神経が刺激されやすくなり、結果としてIGF-1が増え、副交感神経の働きも良くなります。シャワーを浴びるだけでかえって体を冷やしてしまうより、浴槽につかる習慣をつけることが重要です。

d.十分な睡眠をとる:午後10時から午前2時までは、睡眠で成長ホルモンが増える時間帯です。どのくらいの睡眠時間が健康維持に良いかは、個人差があるでしょうが、最低この時間帯には睡眠をとると、IGF-1が増えやすくなり、副交感神経の作用も高まります。

e. 知覚神経を刺激する食べ物・飲み物を摂る ①カプサイシンを含む唐辛子、②イソフラボンを含む大豆、③多くの知覚神経刺激物質を含む発酵食品、④知覚神経を刺激するポリフェノールを含む赤ワインやコーヒー、⑤炭酸水などが、IGF-1を増やし、副交感神経の働きを高めます。

もちろん、カプサイシンやイソフラボンは、サプリメントで摂取することができるため、その方が簡単です。

f.糖質、塩分、カロリーを控える:知覚神経の働きを抑える糖質や過剰な塩分、さらに成長ホルモンの分泌を抑える体脂肪を減らすために、糖質や塩分の適正量の摂取(断糖でなく減糖)、そして肥満気味の場合は、摂取カロリー量を減らす必要があります。

 

知覚神経刺激でIGF-1UP;自律神経バランスを良くし、薄毛に限らず全ての病気の予防に

IGF-1は、脱毛症改善や免疫力増強、生活習慣病改善、認知機能改善、抗うつ効果などを持っています。したがって、知覚神経を刺激して、副交感神経の働きを高めることは、IGF-1の増加につながり、また自律神経のバランスを改善して、脱毛以外にも全ての病気の予防や改善につながります。

よく言われる、規則正しい生活とは、IGF-1を増やし、自律神経のバランスを良くする生活です。当たり前のことですが、実際に行うとなると、言うほどには、簡単でないかもしれません。

岡嶋 研二

育毛ドクター

名古屋Kクリニック院長。 IGF-1育毛理論の第一人者。

\ この記事をシェア /

pagetop