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2020年03月05日

ヘアケア

女性の薄毛治療の現実

女性型脱毛症の患者さんの特徴

著者のクリニックには、男性型脱毛症、女性型脱毛症、そして重症の円形脱毛症の患者さんが来院されます。いずれの脱毛症でも、育毛物質であるインスリン様成長因子-1(IGF-1)を増やす治療で改善します。

男性型脱毛症と円形脱毛症の患者さんでは、改善した写真を見て、早い治療効果を喜ぶ方たちが多くいます。しかし女性型脱毛症の患者さんでは、全てではありませんが、改善した写真を見ても、納得しない方たちが他の脱毛症の患者さんよりも多いのが特徴です。

なぜ女性では、このように治療効果不信になる人が多いのでしょうか?

 

女性型脱毛症の発症のしくみとその症状

女性型脱毛症は、これまでお伝えしたように、女性ホルモンの分泌低下によって起こってきます。これは女性ホルモンがIGF-1を増やす作用を持っているために、卵巣機能の低下で女性ホルモンの分泌が低下すると、IGF-1が減少して脱毛するからです。

女性型脱毛症は、若年女性でも起こりますが、やはり多いのは、更年期にさしかかる頃から、それ以降の年齢の方たちです。これらの方たちでは、長い年月に渡って、まず髪の毛が細くなり、コシがなくなり、そして抜け毛が増えて、地肌が目立ってくるなどの変化が起こってきます。

現実には、洗髪時に抜け毛が多いことや、洗面台に向かって上から照明が当たると、薄くなった地肌が照らし出されて、普段よりも地肌がより目立つことなどを経験し、これからどこまで髪の毛が抜けるのだろうと、徐々に不安が強くなります。

薄毛になる部位は、男性型脱毛症では、側頭部と後頭部以外の部位、すなわち頭頂部から前頭部にかけての部位に限定されます。これは男性型脱毛症の原因となる、男性ホルモン由来のDHTという物質に反応する毛根が、これらの部位に限られているからです。

ところが女性型脱毛症では、薄毛になる部位が限られておらず、頭頂部から前頭部にかけて薄毛になる場合が多いのですが、進行すると、男性型脱毛症では薄毛にならない側頭部や後頭部までも薄毛になります。すなわち女性の場合は、重症になると頭部全体が薄毛になります。

 

女性が通常行う薄毛対策は、空振りが多い;シャンプーの場合

女性が薄毛を気にし始めると、まず育毛に良いと謳うシャンプーや育毛剤を探します。しかし絶対に確実なことは、シャンプーで毛が抜けることはあっても、生えることはないということです。

この理由は、シャンプーに入っている皮脂を除去するための界面活性剤(洗浄成分)が、皮膚の保護膜であり、育毛効果や美肌効果を持つ皮脂を除去しすぎてしまうことがあるからです。「皮脂が毛穴に詰まると毛が抜ける」などということは、医学的には全く根拠のないことです。

素手で使うと手を荒らす食器用洗剤で、頭を洗えますか?多くの人達は、シャンプーという名前の食器用洗剤で毎日頭を洗っています。

薄毛の女性は、まずシャンプー選びに夢中になり、頻繁に使用して、また挫折を味わうことになります。

 

毛剤の場合

シャンプーを選んだ後は、ネットや新聞広告で育毛剤を探します。

医薬部外品と銘打った育毛剤は、さも効果がありそうに見えますが、医薬部外品で育毛を謳えるのは、その効果ではなく、決められた成分が入っているからです。このような成分が配合されていれば、効果効果の証明はなくても、どの育毛剤でも脱毛予防などの効能を付記できるのです。

ひどいものになると、脱毛する成分である、かゆみ止めの抗ヒスタミン剤が配合されている育毛剤まであり、実際にそれで脱毛して、名古屋Kクリニックを受診した女性もいます。

 

サロンの場合

シャンプーや育毛剤で効果がなかった女性は、次に、大金をはたいてでも髪の毛を取り戻したいと考えて、街中の育毛サロンを探します。

育毛サロンの中には、IGF-1を増やす施術を行い、効果を出すところもありますが、多くは行き当たりばったりの施術に終始します。そして多額の費用をかけることになりますが、髪の毛はなかなか増えません。

 

育毛クリニックの場合

そして次には、医療では毛が生えるだろうと考え、脱毛症を治療するために、皮膚科や育毛専門クリニックを探します。

一般の皮膚科では、男性型脱毛症の治療薬は処方されますが、女性の薄毛を治療する方法がないので、受診すると、お医者さんから「年だから諦めなさい」などと言われてしまうことさえあります。

育毛専門クリニックの多くは、AGAクリニックです。AGAとは男性型脱毛症のことで、それと同じ方法では、女性の薄毛は基本的には治療できません。

しかし、治療を行うところでは、ミノキシジル(市販の外用育毛剤リ○ ○ ○の成分)という育毛剤を飲ませたり、ありふれたビタミン剤が配合されたサプリメントを使用したりします。

ミノキシジルは本来、血圧を下げるためのもので、服用すると、めまい、むくみ、またひどい場合には、狭心症のような症状を起こすことがあります。

そして、脱毛症を起こしている頭皮で頭髪を増やすほどの作用はないのですが、正常な皮膚で軟毛(うぶ毛)を増やしたり、伸ばしたりします。その結果、薄毛のままで、顔のうぶ毛だけが異常に増えることがあります。

 

ウィッグの場合

これまでの薄毛対策に失敗すると、ウィッグを購入して外見を良くしようとすることに行き着きます。確かにウィッグも進化して、見た目にはそれとはわからないものもあります。

しかし、ウィッグをつけるのがうっとうしい、面倒くさい、重たい、さらに夏は暑いなどの理由で、嫌う女性が多いことも事実です。しかし一番問題なのは、何らかの治療をしないと、ウィッグをつけていても、その下で薄毛は毎日進行していくことです。

 

IGF-1を増やす治療で改善しても治療効果不信はすぐには払しょくされない

このような、何をやってもダメだったという女性が、治療不信になり筆者のクリニックを受診します。IGF-1を増やす治療効果を説明しても、「本当なの?」と疑うような顔で説明を聞きます。長い薄毛との闘いで疲れ果てた女性患者さんは、治療効果が出ても、それをなかなか受け入れてくれないのです。

次回は、IGF-1を増やす治療で改善した、女性型脱毛症の患者さんの治療経過をご紹介します。

岡嶋 研二

育毛ドクター

名古屋Kクリニック院長。 IGF-1育毛理論の第一人者。

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