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2019年04月04日

ヘアケア

男性と女性の薄毛はどう違うの?(2)女性の薄毛とは

女性に特有の薄毛は、女性型脱毛症と呼ばれます。女性型脱毛症は、男性型脱毛症と同じく、頭頂部で薄毛が最も顕著に見られるので、少し前まで女性男性型脱毛症と呼ばれていました。しかし男性型脱毛症の治療薬の効果がないことや、頭頂部のみならず、男性ホルモンの受容体のない後頭部や側頭部の毛も細くなり、広範囲に抜けるので、女性型脱毛症と呼ばれるようになりました。

それでは女性の薄毛の原因は、男性型脱毛症とどう違うのでしょうか?

 

女性型脱毛症の原因は、女性ホルモンの分泌低下

男性型脱毛症の原因が、男性ホルモンに由来するジヒドロテストステロン(DHT) であることは前回述べました。女性型脱毛症の原因は、ずばり、女性ホルモンの分泌低下です。しかし、女性ホルモンを投与しても女性の薄毛は治りません。この理由は、女性ホルモンが体内で規則正しく分泌されて初めて、女性の毛髪や健康が、良好な状態に維持できるからなのです。

 

女性ホルモン分泌低下の原因は?

女性ホルモンの分泌低下は、中年以降に卵巣の働きが悪くなって起こる場合が最も多いのですが、卵巣機能が十分ある若年でも起こることがあります。

卵巣からの女性ホルモン分泌は、脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンによってコントロールされています。したがって、若年で卵巣の機能が残されていても、性腺刺激ホルモンの分泌が乱れることがあれば、女性ホルモンの分泌が低下する場合があるのです。

性腺刺激ホルモンの分泌異常は、生活環境の変化や強いストレスによって起こります。よく女性が過剰なダイエットで毛が抜けることがありますが、これは摂取カロリー不足から体温が下がり、性腺刺激ホルモンの分泌が低下することが原因です。

 

女性ホルモンは、IGF-1を増やす

女性ホルモン(エストロゲン)は、育毛物質IGF-1を増やします。すなわち女性ホルモンは、知覚神経に作用し、神経成長因子という物質を作らせて放出させます。そして放出された神経成長因子が知覚神経を刺激し、IGF-1を増やします。この作用により、女性ホルモンは、女性の髪の毛の量と質を良い状態に保ち、また毛髪以外に、美容と健康の維持にも重要になるのです。

 

女性ホルモンの分泌が低下するとIGF-1が低下して、薄毛になる

前述のように、女性ホルモンはIGF-1を増やすので、加齢や生活習慣の変化により女性ホルモンの分泌が低下すると、IGF-1が減り薄毛になります。また女性ホルモンには、女性の体内で少量作られている男性ホルモンの作用を、抑制する作用があります。すなわち女性ホルモンの分泌が減ってくると、少量作られている男性ホルモンの作用が強くなり、DHT(男性型脱毛症の原因物質)が頭頂部でIGF-1を減らして、脱毛を引き起こします。

したがって女性の薄毛は、女性ホルモンの分泌低下に加え、それに引き続くDHTの作用増強という、2つの原因によりIGF-1が減少することによって起こることになります。

 

男性型脱毛症の治療薬、プ ○ ○ ○ ○は、女性の薄毛には効果がない

前述のように、女性ホルモンの減少で少量ながらDHTの作用が強くなるので、DHTの生成を抑えるプ○ ○ ○ ○を投与すると女性の薄毛も改善する可能性が考えられます。

ところがプ○ ○ ○ ○では、女性の薄毛は改善しませんでした。これは、女性の薄毛には、DHTはあまり大きな役割を果たしていないことを意味しています。

またプ○ ○ ○ ○は、胎児の男性器の奇形を引き起こす可能性があるので、妊娠可能な女性には使えません。

 

女性の薄毛の治療薬はない

結局、女性型脱毛症に対して効果的な薬はないのですが、脱毛症治療を専門にするクリニックなどでは、ミノキシジルという薬が使われています。この薬は本来は降圧剤で、高血圧の治療中に全身に毛が増えてくる多毛症がみられたため、その後、脱毛症治療に使われ始めました。しかしこの薬は、血圧低下、むくみ、また顔の産毛が異常に増えるなどの副作用を引き起こし、肝心の薄毛は十分には改善しません。

 

IGF-1を増やすサプリメントで女性型脱毛症はある程度改善する

カプサイシンとイソフラボンを中心に、さらにIGF-1を増やす作用のある食品成分を加えたサプリメントを、56名の女性型脱毛症の方に摂取してもらいました。するとその3カ月後に、26名に改善効果が認められました(46.4%)。

このようにカプサイシンとイソフラボンは、女性型脱毛症にある程度の効果を表します。またカプサイシンとイソフラボンに、さらに新たなIGF-1を増やす成分を加えることで、女性型脱毛症の改善効果を上げることができます。

 

カプサイシンイソフラボンに+αで、さらにIGF-1を増やすことが必要

前述のように、女性型脱毛症の成因には、女性ホルモン減少の結果引き起こされるDHTの作用増加よりも、IGF-1の低下の方が重要です。したがって女性型脱毛症で十分な治療効果を得るためには、カプサイシンとイソフラボンに、何らかの新たな薬剤またはサプリメントを+αして、さらにIGF-1を増やす成分を加えることが必要です。

キングアガリクスもIGF-1を増やすので、カプサイシンとイソフラボンと一緒に摂取すれば、女性型脱毛症のさらなる改善が期待できるかもしれません。

写真1は、カプサイシンとイソフラボンに、タキシフォリン(シベリアカラマツから抽出)という物質を加えて、IGF-1を増やし、女性型脱毛症を治療した例です。治療1ヵ月で、すでに毛が太くなりコシが出て、頭頂部の薄毛が改善しています。本人も、毛のコシが良くなり手触りが変わってきたことを自覚していました。ちなみにこの女性も、ミノキシジルやパ○ ○ ○ ○ というサプリメントで2年間治療されていますが、効果がなかったということでした。

▼写真1:40代女性/女性型脱毛症。上から治療前、治療1ヶ月後

岡嶋 研二

育毛ドクター

名古屋Kクリニック院長。 IGF-1育毛理論の第一人者。

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