MENU

2019年03月07日

ヘアケア

男性と女性の薄毛はどう違うの?(1)男性の薄毛とは

男性の薄毛の多くは、男性型脱毛症(AGA)ある

男性の薄毛の中で最も多く見られるのが、男性型脱毛症(Androgenetic alopecia:AGA)です。育毛剤や薬のテレビCMでも、AGAという言葉が良く使われるようになり、薄毛の代名詞にもなっています。

AGAの比較的初期の男性では、頭頂部だけが薄くなり、お辞儀をしたときに初めて薄毛が見えたり、また正面から見ると、前髪がまばらになってきたりします。

 

AGAの起こるメカニズム

AGAが発症する仕組みには、男性ホルモンと遺伝が大きな役割を持っています。男性ホルモンは体内で、ジヒドロテストステロン(DHT)という物質に変化します。これまでの説では、毛根でできたDHTが、毛根の男性ホルモン受容体に作用し、脱毛を引き起こすとされています。

しかしDHTは、誰にでも脱毛を引き起こすわけではありません。男性の中でも、遺伝的に脱毛を起こしやすい体質を持った人にだけ起こります。この体質は、男性の母親の父親(すなわち、その男性にとっては母方の祖父)から遺伝してきます。AGAの人に、お母さん方のおじいさんは薄毛でしたかと聞けば、ほとんどの方が、そうですと答えます。よく父親が薄毛だから自分も薄毛になると考えている人がいますが、そうではありません。

AGAで薄毛が起こる部位は、頭頂部(頭のてっぺん)から前頭部(てっぺんから前の方にかけて)、そして前額部(おでこの生え際)です。両側頭部(両耳の上)と後頭部では脱毛が起こりません。ちょうどサザエさんに出てくる波平さんの、毛が残っている部分がこれらに相当します。この理由は、これらの部位の毛根に男性ホルモンの受容体がなく、DHTが脱毛を起こさないからです。

 

IGF-1理論から考えるAGAの発症機序

前述のAGAが発症する仕組みと、育毛物質であるインスリン様成長因子-1(IGF-1)は、どのように関わっているのでしょうか?IGF-1は育毛効果を持っているので、AGAでは何らかの仕組みでIGF-1が減ってしまい、脱毛が起こっていると考えられます。すなわち、前述のDHTが脱毛を引き起こすのであれば、DHTがIGF-1を減らしているはずです。私の研究から、DHTは、IGF-1を増やす上で重要な知覚神経の働きを落とすことで、毛根のIGF-1を減らしていることが分かりました。DHTのこの作用の強さが遺伝します。

 

AGAは、気になる、気にならない?

AGAは、それが全く気にならない人から非常に気になる人まで様々です。私のクリニックの患者さんの中には、少し病的に神経質になる人もいます。例えば、新幹線に乗ると「慣性の法則」(新幹線の進行に対して毛はそこに留まろうとするので、毛根に力が作用する)で毛が抜けるのではないかと心配する人もいました。

しかしお笑い芸人の中には、自分の薄毛を売り物にしている人もいますから、本当にAGAが気になるかどうかは、それぞれの男性で大きく異なります。ところが次に述べるように、髪の毛は外見上の体裁を整えるだけでなく、体の健康維持にも重要な働きをしているのです。

 

の毛の存在意義は、外見だけではない!

髪の毛は、いくつかの重要な働きを持っています。毛は、体内に入ってきた重金属や薬物の排泄(つまり解毒)にも重要です。よく重金属中毒や薬物中毒の診断に髪の毛の成分分析が行われるのは、このためです。 

また毛は、物が近寄ってくるのを察知するセンサーの働きもしますので、重要な臓器がある部位の表面には、毛が生えています。

さらに、頭髪の毛穴からは皮脂が分泌されますが、皮脂は抗菌効果、皮膚の保温、さらには皮膚の血流を増やすなどの重要な作用を持っているので、頭髪があることは頭皮の状態を良くするために重要です。このように、IGF-1を増やしてAGAを改善させることは、外見上の改善のみならず、体の働きを良くする上でも重要なことなのです。

 

AGA治療の現状

AGAの治療で最も頻繁に使用されるのが、プ● ● ● ●に代表される、DHTの産生を抑える薬です。これらの薬は、DHTによって減少したIGF-1を正常にまで戻す作用が期待されますが、正常以上には増やさないために、長期で飲んでも進行を止めるのがやっとくらいの効果しかありません。さらにミノキシジルという、育毛成分が入った内服薬や外用育毛剤(リ● ● ● など)などが使われますが、飲んでも塗っても体内に吸収され、狭心症などを起こす副作用があります。また、顔などのムダ毛を異常に増やす作用もあります。

また、カルプロニウムという成分もよく使われているようです。これらの成分がある程度の育毛効果を持つならば、IGF-1を増やす作用があるはずです。私の研究で、確かにミノキシジルもカルプロニウムも知覚神経を刺激する作用がありましたが、非常に弱く、IGF-1を増やす作用も弱いと考えられます。

もっと驚くことは、市販の育毛剤の中には、脱毛する抗ヒスタミン成分(かゆみどめとして配合)が含まれているものもあります。私のクリニックの患者さんの中には、市販の育毛剤で実際に脱毛した人もいますので、注意しましょう(詳細は、現代書林刊、拙著『薬害脱毛』をお読み下さい)。

結論として、育毛の専門家でもない医師が、ただプ● ● ● ●とミノキシジルを処方したり、自身で市販の育毛剤を使うなどの現状のAGA治療では、明らかな効果は期待できないでしょう。

 

IGF-1増やす治療で、AGAは明らかに改善する

前述のAGAの一般的な治療効果に比べて、カプサイシン、イソフラボン、そしてキングアガリクスなどのIGF-1を増やす成分の摂取と、DHTの産生を抑えるプ● ● ● ●などの薬の併用による治療効果を比べると、そこには雲泥の差があります。前者の効果が治療5ヶ月で60%程度なのに比べて、後者の治療では90%以上に効果が見られます。下の写真のように、効果の差は明らかです。

▼写真1:48歳男性/男性型脱毛症。プ● ● ● ●のみで左から治療前、治療1年1ヶ月後

▼写真2:38歳男性/男性型脱毛症。サプリメントとプ● ● ● ●の併用で左から治療前、治療1年後。

岡嶋 研二

育毛ドクター

名古屋Kクリニック院長。 IGF-1育毛理論の第一人者。

\ この記事をシェア /

pagetop