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2018年01月12日

ヘアケア

美髪に良くない生活習慣を改める(2)薬編part2

前回ご紹介した「毛が抜ける薬」、すなわち、痛み止めやかゆみ止めは、飲まなくても、皮膚に塗ったり、点眼、または点鼻しても脱毛させます。今回も具体例を交えて紹介します。

 

傷み止め、かゆみ止めは、飲まなくても脱毛を引き起こす!

痛み止めやかゆみ止めに含まれている成分は、皮膚や目、鼻の粘膜からも体内に吸収され、内服したのと同じ作用を示します。狭心症の発作を抑えるニトログリセリンは、テープに沁みこませて体に貼ると、皮膚から吸収されて効果を表しますが、これと同じです。まず、実例をお目にかけます。

 

ムヒを塗って脱毛!

▲20代女性:円形脱毛症。左から、治療前→治療7ヵ月後→治療8ヵ月後(ムヒを2ヶ所に2回塗布した2週間後)

上の写真は、20代女性の円形脱毛症の患者さんの頭部です。このような重症の円形脱毛症は、通常の皮膚科治療では治りません。カプサイシンやイソフラボンの摂取に加えて、薬剤を服用してもらいIGF-1を増やす治療を行うと改善します。この患者さんも、治療7ヵ月で改善しています。

ところが、蚊に刺されて、かゆみ止めの定番であるムヒを2回塗りました。そして、その2週間後に脱毛が確認されました。もちろん、患者さんもびっくりしていました。ムヒに含まれるジフェンヒドラミンというかゆみを抑える成分(抗ヒスタミン剤といいます)が、知覚神経の働きを抑えてIGF-1を減らすので、脱毛するのです。

他にも、ムヒの塗布で脱毛した患者さんや、脱毛症などなかったのに、蚊に刺されてムヒを塗ったことにより円形脱毛症が引き起こされた人もいます。

テレビのCMでも有名で、多くの人が気軽に使っているムヒに、こんな恐ろしい副作用があるなどとは、誰も思いもよらないでしょう。

このように、かゆみ止めや痛み止めが入っている塗り薬を塗っても、髪の毛が傷みます。

 

モーラステープを貼って脱毛!

ある50代の男性は、筋肉痛があったため、以前病院で処方してもらっていたモーラステープを痛みのある部位に2週間、寝る前に貼り続けました。その2週間後に、脱毛が確認されました。

モーラステープには、ケトプロフェンという痛み止め成分が含まれており、これが皮膚から吸収されて脱毛を引き起こしたと考えられます。この時、脱毛と同時に血圧も上昇していました。IGF-1は、育毛効果以外に血圧を正常化する作用もあるので、このようなことが起こったのでしょう。

モーラステープは、病院で処方される湿布薬で、筋肉痛や腰痛で良く使われます。これまで気軽に貼っていた方も多いと思います。しかし、脱毛症のある方ではそれが増悪し、脱毛症がない方でも、抜け毛が増えたり髪の毛が細くなったりしますので、現在サプリメントを飲んでせっかく髪の毛がきれいになっている方は、使わないようにしましょう。

 

目薬でも脱毛!

かゆみ止めや痛み止めは、飲むだけでなく、皮膚に塗っても体内に吸収され、IGF-1を減らして脱毛を引き起こすことが分かりました。しかし驚いたことに、目薬に入っているこれらの成分も、点眼すると目から吸収されて、脱毛を引き起こします。

ある70代の男性は、IGF-1を増やす治療を始めて13ヶ月で明らかに改善していましたが、オロパタジンというかゆみ止めが入った目薬を1日3回点眼し始めて、1ヵ月で脱毛が確認されました(治療14ヶ月後)。

この目薬以外にも、多くの市販の目薬にかゆみ止めが配合されています。ロート抗菌目薬Exに含まれているかゆみ止めのクロルフェニラミンも、脱毛を引き起こします。そして、コンタクトレンズを使用している人が良く使う、洗眼液アイボンにもクロルフェニラミンが入っており、これを使用した人で実際に脱毛した人もいます。

他の多くの目薬にもクロルフェニラミンが入っておりますので、この成分が入った目薬は使用しないでください。

 

点鼻薬でも脱毛します!

花粉症の季節になると、アレルギー性鼻炎が起こり、鼻づまりや鼻水がひどくなります。そのような場合、多くの人たちがドラッグストアに駆け込んで、店頭に並んでいる“つらい鼻づまりに効く”と書いてある点鼻薬を、つい買って使用するでしょう。この点鼻薬にも、かゆみ止めである抗ヒスタミン剤が含まれています。

30代の男性型脱毛症の患者さんは、治療前には髪の毛の間から地肌が透けてみえていましたが、長く治療することで改善していました。ところが、花粉症でアレルギー性鼻炎の症状が強くなり、パブロン点鼻薬を購入して使用してしまいました。使用から1ヵ月後に、脱毛が確認されました。

パブロン点鼻薬の中には、クロルフェニラミンという抗ヒスタミン剤が含まれており、鼻水や鼻づまりを和らげます。しかし、決して、アレルギー性鼻炎の原因であるアレルギー反応は抑えません。いや、むしろ悪くします。そのため、薬の効果が切れるとまた点鼻するということを繰り返して、髪の毛と健康が害されていきます。

 

かゆみ止め成分が頭皮を直撃して脱毛!

▲20代男性:円形脱毛症。メデイクイックHゴールドを1日1回、2週間、頭皮に塗布して発症

これまで、抗ヒスタミン剤を体に塗ったり、またはそれが入った湿布薬を体に貼ったり、目薬や点鼻薬を使用したりして、脱毛が起きた例をお示ししました。そうなると、かゆみ止めを直接頭皮に塗った場合、頭皮を直撃して脱毛を引き起こすことは容易に想像できます。その症例が上の写真の方です。

メディクイックHゴールドという、なんとも恐ろしい、頭皮に直接塗るかゆみ止めがあります。これには、クロタミトンというかゆみ止めが入っています。ある20代男性は、頭皮にかゆみがあり、この商品を購入して1日1回、2週間に渡ってかゆいところに直接塗ってしまいました。結果、直撃部位に円形脱毛症が起こってしまいました。

このように、痛み止めやかゆみ止めは、飲んでも、皮膚に塗っても、点眼、点鼻しても、もちろん頭皮に塗っても、脱毛を引き起こします。ドラッグストアに行ってみると、風邪薬や花粉症に使用するこのような薬が、安全な顔をして店頭に山積みされています。もっと恐ろしい商品としては、かゆみ止め入りの石鹸まで売られています。髪の毛と健康を願うならば、近寄らないようにしましょう。

岡嶋 研二

育毛ドクター

名古屋Kクリニック院長。 IGF-1育毛理論の第一人者。

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