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2022年04月28日

エイジングケア

21世紀病を遠ざけるために行うべきこと

21世紀病の共通項

ここ数十年で劇的に増加している慢性的な疾患があります。肥満、喘息、花粉症、Ⅰ型糖尿病、自閉症、アトピー性皮膚炎、アレルギー、自己免疫疾患、心の病気などです。これらは20世紀半ば以降に急増し、「21世紀病」や「現代病」と呼ばれています。

これらの疾患名は、以前の欧米や日本では聞かれませんでした。そして今、新興国や途上国でも近代化に伴って増えています。一体なぜでしょう?

21世紀病からは、二つの共通項が浮かび上がります。一つは、アレルギーや自己免疫疾患のように免疫系と関係していること。もう一つは、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患といった腸の機能不全です。

一見、腸とは関連していないように見える疾患もありますが、実は関連しています。例えば、自閉症の患者は慢性的な下痢に悩まされていますし、うつ病と過敏性腸症候群は連動して起こっています。21世紀病は免疫系と強く関係し、腸で起こることが多い病気なのです。

 

健全な腸内環境を整える対策を

それでは、時代が近代化すると、なぜ免疫系と腸の機能不全が起こるのでしょう?

私たちの体内には微生物(マイクロバイオータ)が共生しています。特に、腸内に生息している膨大な数のマイクロバイオータ(腸内フローラ、腸内菌叢ともいいます)は、健康や疾患と密接に関係しています。腸内には体内の免疫細胞の約60%が集まっているからです。

また、ヒトはマイクロバイオータから必須ビタミンを合成してもらうなど、その他にも多大な恩恵を受け共生しています。マイクロバイオータは必要不可欠な存在なのです。

ところが20世紀の半ば以降、両者の関係に亀裂が入ります。薬の多用、特に抗生物質の過剰使用などにより、マイクロバイオータが乱されてきているのです。

さらに、食生活の欧米化が進み、食物繊維の摂取量が減少していることも影響していると言われます。食物繊維はマイクロバイオータの餌になります。それが不足しては健全な腸内環境は整わないでしょう。

21世紀病を遠ざけるためには、次の二つを心がけて腸内環境を整えることが大切といえます。①安易に薬を多用しない(抗生物質の過剰使用には要注意)。②食物繊維をしっかり摂る(現在どの年代の人でも不足している)。

最後に、フラクトオリゴ糖というマイクロバイオータの餌になる成分をご紹介します。フラクトオリゴ糖はマウスの実験から、痩せ菌といわれるアッカーマンシア菌を大増殖させることがわかりました。

これは、フラクトオリゴ糖を食べることで痩せ体質を目指せることを意味します。ヤーコン、タマネギ、ごぼう、バナナ、アスパラガスなどに含まれていますので、意識して摂ることをおすすめします。

参考文献:『あなたの体は9割が細菌』川出文庫 アランナ・コリン 著/矢野真千子 訳

元井 益郎

薬学博士/社長

1分も走れないペンギン歩きから、世界7大陸最高峰を目指す70代に。

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