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2015年07月01日

エイジングケア

あなたの美しさは、腸内フローラで決まる?

0626腸内フローラs
先日、福岡で開催された日本抗加齢医学会に参加しました。

3日間にわたり数多くの研究成果が発表されましたが、
その中でも強い関心を呼んだのが、現在、最も注目を浴び、
急ピッチで研究の進んでいる「腸内フローラ」のテーマです。

 

今回はその「腸内フローラ」について述べたいと思います。

「フローラ」とは植物が群れている様子のこと。
簡単に言うとお花畑と例えられます。

そして、「腸内フローラ」とは、腸内が花畑のように
腸内細菌でびっしりと敷き詰められているような状態で、
腸の中に住む細菌たちの生態系のことを言います。

そして、一般的に、腸内フローラを構成する腸内細菌は、
以下のように大きく3つに分けて説明されてきました。
(善玉菌、悪玉菌、日和見菌)

腸内細菌

 

健康な人の腸内では、善玉菌が悪玉菌を抑える形で
腸内フローラのバランスが維持されていますが、
何かの原因で悪玉菌が優勢になると、
腸内腐敗が進みアンモニア、フェノールなど健康に有害な物質が増えます。

これがくさいオナラの原因になったり、更には有害物質が腸管から吸収されて、
やがては肝臓、腎臓などにも負担を与え、老化を進めたり、
ガンなどの生活習慣病の原因になったりします。

 

このような内容までは、多くの方にご理解頂けていると思います。

最近では、更に研究が進んだ結果、腸内には実に100兆匹以上、
数百種類のもの細菌が住んでいること。

そして、その細菌の出す物質が、私たちの美容や健康に
様々な影響を与えることが分かってきたのです。

 

 

いくつか例を挙げると、まず名前が悪いが「デブ菌」について。

肥満の人から糞便移植を受けると、
痩せている人が肥満傾向になったという研究報告です。

肥満の人の便を、痩せている人に移植すると、
その痩せていた人が肥満傾向になる、ということです。

動物実験でも同じ現象が確認されています。
逆に、健康な人の「腸内フローラ」を病気の人に移植すると、すこぶる健康になる
ということも分かってきています。

また、マウスの研究では、性格が臆病なマウスと活発なマウスについて、
今まではそれぞれの遺伝子の影響と考えられていたが、
「腸内フローラ」を交換すると性格や感情が入れ替わるといいます。

 

 

このように、多岐にわたって「腸内フローラ」の研究が行われ、
ガンや糖尿病などの病気だけでなく、肥満やシワなどの体質まで、
更に脳にまでも影響を与え、うつ病なども関係しているのではないかと考えられる
というから驚きです。

今や、「腸内フローラ」は、人類の寿命を劇的に延ばした
「ワクチンの開発」や「抗生物質の発見」に匹敵する
インパクトがあると考えられているのです。

 

それではここで、健康や美容に大きな影響を与える
「腸内フローラ」を良い状態に保つには、
具体的にどのような生活習慣をしたら良いのでしょうか?

 

まずは注意点です。
一日中食べ続けると、腸内細菌の偏りが起こるという研究報告がありますので、注意しましょう。
さきに触れた「デブ菌」が腸を支配します。

また、糖尿病を避けるために人口甘味料をとっていると腸内フローラが変化し、
むしろ糖尿病を招いてしまうという報告があります。

どうやら人口甘味料は良くないようです。
それから、抗生物質は腸内細菌も殺してしまうため、
今までの抗生物質の評価も変えざるをえなくなりそうです。

 

 

それでは、積極的に摂るべきものは、何でしょうか。

米国・ハーバード大学の研究で、
腸内細菌は食べるもので変えられるという報告があります。
腸内フローラの数と種類を増やすことが必要で、
それには腸内細菌のエサとなる食物繊維を摂ることが大事なポイントのようです。

しかし、残念ながら日本人の食物繊維の摂取量はどの年代も少ない。
意識して積極的に、ごぼう、玉ねぎ、アスパラガスなどの野菜や、
果物、納豆や大豆などの豆類を摂ることが肝心です。

この点をもう少し詳しく述べますと、野菜や果物を食べると、
腸内細菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖(炭水化物)が腸内に増えます。

腸内細菌はそれらを吸収して増え、乳酸や酪酸などの有機酸を作り出します。
これにより、腸内を弱酸性にして悪い菌の増殖を抑え、
外敵菌の侵入も抑えるのです。

 

 

今まで、「腸」といったら栄養分を吸収し、
残渣は便として排泄するだけと思っていましたが、そ
うではないのですね!

健康から美容、性格まで「腸内フローラ」が影響しているようです。

 

 

結論です。
腸内フローラを良い状態に保つには、食事が偏ることなく、
食物繊維やオリゴ糖などを含む炭水化物もバランス良く摂取することです。

心配なのは昨今のダイエット願望(痩せすぎの若い女性まで)で、
極度の軽食、減食とスイートなどの多食・偏食です。

「一日一食」などと過去に唱えた方もいましたが、
腸内フローラの数と種類を増やすには、食物繊維の摂取を意識し、
多品目でバランスを考えた節度ある(食べてばかりはいけない)
食事が大切のようです。

昔からお年寄りが、「お腹を冷やしてはいけない!」
「冷たいものを摂りすぎてはいけない!」などと注意したことは、
腸内を健康に保つためにもちゃんと意味があったのですね!

 

昨今、発酵食品のブームで乳酸菌食品やサプリメントが多く利用されていますが、
その効果の度合いは、その製品によって、
以前より快食快便になったかどうかで評価することもできそうです。

私は、多くの製品が、腸フローラの健康のためには有意義なものだと思います。

 

さぁ、これからは貴方のお腹を元気なお花畑にするように頑張りましょう!
間違っても暴飲暴食や栄養不足で、お腹のお花畑が枯れることの無いように!

貴方の今、未来の健康や容姿を腸内フローラが決めるとしたら・・・。
今後も腸内フローラの研究から目が離せませんね!

参考資料:第15回日本抗加齢医学会シンポジウム『解析がすすむ腸内フローラと疾患との関わり』
/NHKスペシャル『腸内フローラ~解明!驚異の細菌パワー~』

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※番外編コラム筆者紹介
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サンプライズ株式会社
代表取締役社長:元井益郎
薬剤師、NR(栄養情報担当者)、日本抗加齢医学会認定指導士。
1946年生まれ。東京薬科大学薬学部卒業。ジェーピーエス製薬株式会社入社・退社後、サンプライズ株式会社設立。東京大学や慶應義塾大学など、国内の著名な大学機関と抗加齢に関する共同研究を行っている。趣味は山登りとマラソン。

元井 益郎

薬学博士/社長

1分も走れないペンギン歩きから、世界7大陸最高峰を目指す70代に。

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